配当利回りも高く、株価も成長し、暴落にも強いポートフォリオはないか。そんな夢のようなポートフォリオを探しています。今回、米国個別株で比較的高配当な銘柄を組み合わせて、そんなポートフォリオを過去のチャート(1998/1~2019/12)を参考に検討しました。
高配当・高成長ポートフォリオ検討の方法
候補とした銘柄
ティッカー:MO、JNJ、MMM、PEP、JPM、PG、SO、VZ、PFE、XOM
配当利回り重視で選んでいますが、それだけでは株価の成長が鈍いので、株価が継続的に成長ており、比較的配当利回りの高い銘柄を候補に加えています。
検討の方法
各銘柄の1998年1月から2019年12月までの株価チャートを元に、各銘柄をポートフォリオに組み込む割合を変化させながら、株価の成長率、配当利回り、リスク(成長率の標準偏差σ)、シャープレシオを比較し、"①配当利回り②株価成長③暴落にも強い"組み合わせを検討しました。
それぞれの過去のチャートと成長率等の各値は下記の通りです。 (グラフ縦軸は1998年1月の値を1とした場合の株価になります)
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MO |
JNJ |
MMM |
PEP |
JPM |
PG |
SO |
VZ |
PFE |
XOM |
平均成長率 |
7.6% |
6.7% |
6.6% |
7.9% |
6.2% |
5.3% |
4.4% |
1.8% |
1.3% |
3.6% |
リスク(成長率の標準偏差σ) |
0.071 |
0.050 |
0.060 |
0.059 |
0.091 |
0.053 |
0.053 |
0.066 |
0.059 |
0.051 |
シャープレシオ |
1.83 |
1.63 |
1.45 |
1.59 |
0.84 |
1.33 |
1.16 |
0.54 |
0.52 |
1.05 |
年間Return(平均成長率+配当) |
14.3% |
9.3% |
9.9% |
10.7% |
8.8% |
8.3% |
7.4% |
4.8% |
4.3% |
6.6% |
配当利回り |
6.7% |
2.6% |
3.3% |
2.8% |
2.6% |
3.0% |
4.0% |
4.1% |
3.9% |
5.0% |
※配当利回りは2020/1時点の値
ポートフォリオ検討の結果
採用した銘柄
バックテストの結果最終的に採用したのは次の4銘柄です。
①アルトリアグループ(ティッカー:MO)
アメリカのタバコ会社です。マルボロが有名ですね。生活必需品セクター。配当利回り6.7%。
②ジョンソン・エンド・ジョンソン(ティッカー:JNJ)
製薬や医療などを手がける世界的にも有名な大企業。ヘルスケアセクター。配当利回り2.6%。
③スリーM(ティッカー:MMM)
化学・電気素材の会社です。粘着テープなど日本でも目にかけます。資本財セクター。配当利回り3.3%。
④ペプシコーラ(ティッカー:PEP)
ご存知 ペプシコーラです。生活必需品セクター。配当利回り2.8%。
各銘柄の保有割合
結果としてMO30%、JNJ30%、MMM20%、PEP20%のポートフォリオが最も安定して高い成長が得られ、比較的高い配当を得ることができました。(これを検討PF1と名付けます)
1998年1月から2019年12月までのポートフォリオ全体の平均成長率は7.2%、配当利回りは4.0%(2020年1月時点)となります。
S&P500と今回検討したポートフォリオとの比較
実際にS&P500と比較をしてみました。ほぼ同じ様な推移ですが、2015年からの動きに差が出ています。これはポートフォリオに組み込んでいるMOの影響が大きいです。また、2016年以降は検討PF1では下落しており、将来的にどうなるのかが気になるところです。 (グラフ縦軸は1998年1月の値を1とした場合の株価になります)
実際に平均成長率等の各指標を数値で確認します。検討PF1は数値上もS&P500よりも優れて見えます。気になるのが暴落に強いかどうかですが、リスク(成長率の標準偏差σ)がS&P500よりも小さくなっており、暴落時にも強いと思われます。またシャープレシオも倍近い値になっており、リスクに対して効率的にリターンを得ることが出来たポートフォリオと言えます。
またそれぞれの個別株単独の各数値と比較してみます。個別株単独に比べるとリスク(成長率の標準偏差σ)が小さくなっており、株価変動が抑えられています。これが分散の効果ですね。
平均成長率や年間リターンはMO単独が最も優れていますが、リスク分散という観点と、分散をしながらもリターンを最大化するという観点から成長率、シャープレシオ等を見ても良いポートフォリオが組めていると言えるのではないでしょうか。
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検討PF1 |
S&P500 |
MO |
JNJ |
MMM |
PEP |
平均成長率 |
7.2% |
5.4% |
7.6% |
6.7% |
6.6% |
7.9% |
リスク(成長率の標準偏差σ) |
0.037 |
0.043 |
0.071 |
0.05 |
0.06 |
0.059 |
シャープレシオ |
2.667 |
1.447 |
1.834 |
1.632 |
1.447 |
1.591 |
年間Return(平均成長率+配当) |
11.2% |
7.4% |
14.3% |
9.3% |
9.9% |
10.7% |
配当利回り |
4.0% |
1.9% |
6.7% |
2.6% |
3.3% |
2.8% |
※配当利回りは2020/1時点の値
次に実際に暴落に強いかどうか、各月の株価の成長率をもとにグラフで比較してみましょう。1を超える時が株価の上昇、1より小さいときが下落になります。(グラフ縦軸が各月の株価成長率です)
例えば2000年からのITバブルの際は、検討PF1ではあまり下落が見られませんが、S&P500では大きく下落しています。2008年からの住宅バブル、リーマンショックではどうでしょう。S&P500が0.85を下回るのに対し今回の検討PF1では0.9程度と控えめになっており、比較的安定していると言えます。その他の時期を見ても、S&P500の変動幅に比べると若干小さくなっており、変動が小さく安定して成長してきたPFと言えます。
検討PF1の組み入れ銘柄数は4と少ないですが、それぞれが違った動きをしており、また組み入れ割合を調整することでポートフォリオ全体の変動を抑えることが出来ています。
なぜ暴落に強いポートフォリオとなっているのかみてみましょう。
今回組み入れた銘柄とS&P500の株価チャートを次に示します。2000年からのITバブルの際、今回の銘柄はいずれもあまり下落していません。生活必需品セクターやヘルスケアセクターからの銘柄選定のため当たり前と言えば当たり前ですね。MMMは下落どころか継続的に上昇しています。
2008年からの住宅バブル、リーマンショックではどうでしょう。いずれの銘柄も下落は見られますが、S&P500ほどではありません。特にJNJは下落率が低くポートフォリオ全体へのダメージを和らげてくれていることが分かります。
まとめ
過去の株価チャートを元に、株価の成長率、配当利回り、リスク(成長率の標準偏差σ)、シャープレシオを比較し、「①配当利回り②株価成長③暴落にも強い」を成立させる組み合わせを検討しました。結果として今回検討した銘柄の組み合わせの中ではMO30%、JNJ30%、MMM20%、PEP20%のポートフォリオが最も優れた結果を残しました。
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今回の検討は過去の実績をもとにしたものであり、将来を保証するものではりません。投資の判断は自己責任にてお願い致します。また各データは、誤りがある場合もありますので信頼できるソースにてご確認をお願い致します。
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