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【名著】「苦しかったときの話をしようか」を読んだ感想

「苦しかったときの話をしようか」の概要

 森岡毅さんという日本を代表するマーケターが自身の娘に書いた職業選択のHow to本。まずは自分自身の理解から始り、戦略的にキャリア形成をするための具体的手法が書かれています。

 本書の特徴としては、なんといっても森岡さんが自身の娘に向けて書いたという点です。自身のこれまでの経験や学び知識から作られたキャリア論を体系的に伝えることで、娘さんに良いキャリアを作って欲しいとの願いが込められています。また森岡さん自身がキャリア形成について深い経験をされており、かなり本質的であり実用的な内容になっています。

 "娘さんに向けて書かれた本"であり、本当に役立つ内容になっています。

 

  

どんな人に読んで欲しいか

これから就活が始まる学生さん

 これまであまり将来の選択をしてこなかった人にとって、就活は多くの"選択"を迫られるため大変だと思います。いきなり選択を迫られてもどうして良いか分からない。そもそも自分はどんな職業につきたいのか分からない。特にやりたいこともない。

 そんな人は自分のキャリア形成の軸(方針)を作ることで選択が容易になります。自分の価値観を見つめなおしたり、やりたいことを見つける参考にもなるかと思います。

 

キャリアに悩む社会人

 なんとなく会社に入ったがイマイチつまんない。もっとやりがいが欲しい。もっと違う仕事が向いている気がするけど、どんな仕事なのか分からない。

 自己認知(自分を理解すること)が低い人は、自分の得意なことや、やりたいことが分からないことが多いと思います。そんな人にとって自己認知を高めるきっかけになるのではと思います。

 

子供を持つ保護者の方

 子供から就活や進路について相談を受けることもあるでしょう。そんなときにどこまで有効なアドバイスをできるのかと考えると、移り変わりの激しい今の時代にあった的確なアドバイスをできる方は少ないのではと想像します。親が与える影響はやはり大きいと思います。そのため保護者の方自信がキャリアについて考え、子供にアドバイスをするためにも本書は良いと思います。

 

おすすめポイント

実用的な内容

 本書は自分の得意を活かしたキャリア形成を推奨しており、自分が得意なことを見つける方法が書かれています。またマーケティングの手法を応用したキャリア戦略の作り方が書いてあり、長期的なキャリア形成についてもためになると思います。

 

職能を高めることを基本として書かれている

森岡さんの基本思想は、会社と結婚するな、職能と結婚しろ(どんな会社でも通用する専門スキルを身につけることを重視している)なので、基本的にはそういった思想で書かれています。日本の企業は終身雇用が終了していきます。そんなとき必要なのが個人の強さ、スキルです。それらを高めるためのキャリア戦略が本書の基本となっています。

上司にヘコヘコしてても職能はつきません。これからの時代にあった内容になっています。

 

森岡毅さんの濃密な経験が凝縮されている

 森岡毅さんは数学をマーケティングに応用し、P&GやUSJで大きな成果を出してきた方です。当初は仕事に馴染めないながらも生き残るために独自の手法を確立していく過程、数々の逆境にも負けず戦い続けたこと、そんな経験談が書かれており、大変勇気づけられます。

 

愛で溢れている

 娘さんのために書かれた文章がほぼ原文で載っていると思われます。行間から娘さんへの愛が溢れており、特に5章、6章はキャリア形成に関係なく、文章として感動しました。

 

感想

 これまで読んでいた転職やキャリア形成の本とは一線を画する内容でした。やはり娘さんに向けて書かれたということから商用的ではなく、実用性が高いと思います。

 また森岡さん自信がキャリアについて真剣に取り組み、かなりの苦労をして、それを乗り越えてきたことから、その経験値が本書の元となっています。そのため本書のHow toは物事の本筋を捉えており、非常に実用性が高いのだと感じました。またマーケティングとキャリア形成を組み合わせているのも本書の特徴であり、マーケティングの手法を活用することで戦略のあるキャリア形成プランを作ることができます。キャリア形成は長い時間を要するものであり、それ故、戦略も重要になってきます。戦略も無くその場しのぎでふらふら仕事をしていると結局どこにも行けないのだと思います。個人的には就活前に読みたかったなーと思います。

 そして個人的に響いたのは5章の「苦しかったときの話をしようか。」森岡さん自身の経験談です。素晴らしい実績を持っておられる方ですが、かなりの苦労をしてこられたことがよく分かりました。こんなに凄い人でも"布団の中で今日は会社に行きたくないと思っていた"とのことから親近感が湧きました。笑 しかしきちんと出社しボスと正々堂々対決するところは、なんというか鳥肌ものです。すさまじい経験をされた方の文章は読み応えがあるなというのが正直な感想です。

帯に書かれた「キャリアに悩む全ての人に役立つ本質的ノウハウ」は間違いではないと思います。

やりたいことが分からない病の私にとっては一つのきっかけになった本でした。